日本のドローン第一人者、野波教授が語るドローンの未来 (後編)

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前半:日本のドローン第一人者、野波教授が語るドローンの未来 (前編)

ドローンは日本国内でも注目度が高まっています。政府主導で進められている「ロボット革命実現会議」の中でもドローンは今後の成長産業として議題にあがっており、法整備も着々と進みつつあります。盛り上がりを見せるドローン業界の中で、研究開発の第一人者と呼ばれる野波教授にインタビューを行いました。

後半の記事ではドローンを取り巻くオープンソース化の流れや、国内のドローン情勢についてお聞きしています。

 

野波教授

千葉大学 大学院工学研究科・工学部 特別教授

株式会社自律制御システム研究所 代表取締役社長

ミニサーベイヤーコンソーシアム 会長

 

■ドローンの将来性

 

オープンソース化の流れ

海外ではParrotや3D Roboticsがオープンソース化をして各開発者が自由に開発できるプラットフォームを整備しています。ドローンの進化の中でオープンソースの取り組みが主流になるのか、あるいはハードウェアとソフトウェアのすり合わせが重要だからオープンソースはそれほど広がらないのかという点についてお考えをお聞かせ下さい。

「オープンソースは長所と短所があります。基本的にオープンソースはソフトウェアだけの話ですよね。ハードがあってソフトがある。例えばオートパイロットの事例でも、オートパイロットが心臓部ですから、ここがオープンソース化するということだと思うんですけど、オープンソース化をしている場合にはハードウェアの内容をしっかりと熟知した状態でないと間違ってしまうんです。それからもう一つ、オープンソースの問題点として、結構、ある人が一つの提案をして賛同が得られるとみんなそっちに行ってしまい、みんながひとつの領域のみで開発をしてしまいます。そういった流行的な部分があります。トータルに誰かがコントロールするわけではないので、自然発生的になりますね。それが良い面でもあるんですが、悪い面としては面白いからといってホビーライクでマニアックになってしまう。その人の関心でどんどん先鋭化してしまう。そうすると、それは趣味の内容になってしまい、本当に欲しいものがなかなか出来ていかないと。趣味のほうに行ってしまうとスマートフォンと上手く組み合わせてどんどんマニアックになってしまうところに問題があるのかなと。そこを節度を持ってやれると良いんですが、なかなか難しい。ですから、私共は産業用なので、スマートフォンでコントロールしなきゃいけないということはないんです。むしろ、信頼性とか絶対に落ちないヘリを作るというのがはるかに重要です。数百万とかする機体ですから。かたや、十万円くらいのドローンであれば、どんどん先鋭化してもっと面白いことができるほうに行ってしまうと。そこがオープンソースの欠点です。オープンソースのコミュニティに会員も多いのですがほとんどホビーなんです。産業用に利用するのにはちょっと脆弱過ぎるんです。一方でドイツ製はしっかりとしていますよね。ホビー用は、面白いんですけど、外で風速15メートル、20メートルのときには全然使えない。みんなそういったことには関心がないんです。海風があるところで橋の点検が出来るかというと出来ない。瀬戸大橋で点検が出来るかというと出来ないんです。」

ということは、ホビーの世界ではオープンソースが発展し、一方で商業用のドローンについてはメーカー側がハードウェアとソフトウェアのすり合わせをしていくような流れになりそうですね。

「そうですね。そこはある程度、区分けして、産業用の場合には落ち着いて産業が求めている重要なところはしっかりと開発していくと。そこは上手く棲み分けられると思っています。」

 

産業用ドローンの成長企業

ホビー用のドローンを開発している会社は売上も大きく業界のシェアが大きいと。一方で産業用のドローンを開発している会社については、世界的にまだ大きい会社が出ていないのでブルーオーシャンだと思います。産業用のドローンメーカーで世界で見たときに競合になりそうなところとか、注目している企業はありますか?

「ドイツのアセンディングテクノロジー(Ascending Technologies GmbH)が今度インテルとも一緒に3Dカメラを使って開発も行いますし、注目をしています。私はアセンディングテクノロジーが3名だったときに会社を訪れたことがあります。彼らはMIT出身で、いまは40人くらいいます。うちもいま30人弱くらいでそこまで変わりませんが、一方でDJIは千数百人もいます。DJIもスタートは同じくらいの時期で2006年くらいです。アセンディングテクノロジーも同じくらいです。何が違うかというと、ホビーとオートパイロットを出すか出さないか。アセンディングテクノロジーは出していないんです。責任を持って、機体と一緒に提供しているんです。カナダのエリオン社もしっかりしています。」

 

drone

 

■国内のドローン情勢について

 

国内特有の利用方法

国内外でドローンは利用されていますが、国内特有のドローンの使い方というのも今後発展してくると思うのですがどういった点で利用されるようになるとお考えでしょうか?

「国内特有は一つは福島ですよね。放射線計測と原発の廃炉は他の国にない宿命があるんですね。30年40年後にさら地に戻すと。スリーマイルもチェルノブイリも石棺で覆ってしまって、一切手を付けないと。日本の場合にはそういうことはできないんです。逆にそこで先端技術が磨かれるので、人類初の挑戦だと考えています。そういう意味で、ドローンがこれからああいうところでマニピュレーターとかを付けて、空中から色々な作業をするというのはありうると思うんです。日本の技術革新がここで必要に迫られて生まれる可能性は十分にあります。資源エネルギー庁のプロジェクトだったんですが、建物の中を自律飛行をさせる技術も、プロジェクトを通して技術を磨きました。これは海外ではないものです。林の中を飛行させるというのはあると思いますが、室内の爆発現場の中を自律飛行させるという発想はまず出てこない。そういう意味では、画像とか3Dカメラではできない、やっぱりレーザーなどを利用して正確に計測しないといけないんです。アバウトには出来ない技術というのを我々はしっかりと磨いています。」

福島原発以外で日本特有の使われ方というのはありますか?

「それから次は日本は山岳地帯が多いんです。アメリカとかヨーロッパはフラットで、中国も結構フラットで山はあまりないんです。日本の場合には気象条件も、日本海側は全然違うし、将来的には山越えの技術が必要になると思うんですが、日本には厳しい3000メートル級の山があるので、そういうところで山越えができる技術が発達すると思います。温度や気圧が変わる、また吹き降ろしや吹き上げなどの山風があるところできちんと飛行できるかというところで日本の技術が磨かれれば、世界トップレベルの技術を得られる環境にはあります。あとは、海もあります。海洋大国でもあるので、島から島に配送する技術も発達します。海風もありますし、湿気もある。日本が抱えている良い環境を利用して開発をすれば海外に輸出できる技術を磨けます。」

 

国内のドローン関連の法整備

国内ではドローン関連の法整備が進んでおらず、今後しっかりとした枠組みを作ることが急務だと思います。そういったことを背景に、今後、商業利用していく際に、考慮して欲しい規制などはありますか?

「日本としては、ドローンを産業にしたいと言っています。ロボット革命実現会議で安倍さんも言っていますが、ドローンは産業の種になるということですごく重要な位置付けとなっています。そのため、総務省も電波法でドローンの専用帯域を設けるとか、国交省もドローン特区を何箇所か作ろうとしています。その周辺に産業を集積して拠点化して、大きなアベノミクスの第三の矢にしようとしています。ですから、いまの環境を見ると、国が一生懸命対応してくださっているので、とてもありがたいと考えています。私がずっと思っていたのは、ドローンの専用の周波数と、技術を磨くために特区が必要でそこでは自由にドローンを飛ばすことができると。逆に、一般の人もそこに行けば、ドローンがどのようなものか見れると。そういった場所が4〜5箇所必要だと思っていました。だいたい私が思っていたことがそのまま、国が実現してくれようとしています。こんなに追い風はないなと思っています。」

 

ドローンの航空管制システム

海外ではNASAがドローンの航空管制システムを作ろうとしています。管制システム自体は各国に根付いたものになると思うので、アメリカについてはNASAが主導で行い、日本については民間企業や行政が作っていくと思うのですがどういった組織が日本国内の管制システムを構築していくべきだとお考えでしょうか?

参考:NASAがドローンの航空管制システムを開発中

「基本的にはJAXAとかがやるべきだと思います。幸い、日本は準天頂衛星のみちびきが飛んでいるんですが、2018年からそれが商用化されます。それに向けて、日本の自動車メーカーも自動運転の開発をしていますが、おそらく今のGPS技術だと精度が悪いので、数メーターの誤差があって衛星がドローンを明確に認識できないのですが、準天頂衛星が実用化される2018年ころにはドローンが識別できるようになると思います。もちろん、GPSのアンテナも付けてますから、そういう意味では今の10倍くらいの精度で数十センチくらいの誤差にまでなると思います。そうなれば、世界のトップレベルの認識技術になると思います。そうすると、今NASAが考えているような有人機と無人機の両方を一緒に管制する統合管制システムも夢ではないんじゃないかと思います。」

衛星を使うとなると、二次元空間の中でドローンがどの緯度経度にあるかは認識出来ると思うのですが、三次元空間の中で各ドローンがどれくらいの高度にあるのかを認識するのが難しいかと思います。そこはどのように解決するべきでしょうか?

「確かにそこは問題ですね。それについてはドローンのインフラとして、地上側で携帯電話に相当するような基地局のようなものがあって、立体的に認識するというのが必要になります。あるドローンはどこを飛んでいるのか。逆に地上側からも電波を出して、高度をある程度推定する。あるいは、ドローン側が自分の高度を自己申告するのを義務付ければ立体的に認識できるので、3D型に管制できるようになります。それは国のルールでなんとでもなると思います。」

 

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